2021年8月22日
8月22日というと森山直太朗のアルバム『822』を思い出す。822と書いて「パニーニ」、ふざけている(中身もジャケットもだいすきだけど)。
アルバイトの休憩中によく行くパン屋では「0」の付く日はベーグルの日、「8」の付く日はパニーニの日になっている。恐らく「0」はベーグルの形に似ているから、「8」はパニーニの"パ"というところなのだと思う。と思って調べたら、「8月22日は年に一度のスペシャルパニーニDay」だそう。パニーニの日の上位互換、スペシャルパニーニDay。
感染症の現状を鑑みて、外食や旅行の予定をすべてキャンセルした。このニュースがきっかけで、遅いのかもしれないけれど、いよいよしっかりと当事者意識をもって向き合わざるを得ないと思った。
ということで、近頃はアルバイトと家の往復ばかりだ。今日は栄でアルバイト。こういう時期ということもあってお客さんもほとんど来ないので、外ばかり見ている。出会い系アプリを通して初対面を迎えた人たちは大体傍から見てもわかる(自身が経験しているからとかではなくわかる)。こういう俗なことをささやかな楽しみにしてしまっているのが恥ずかしいけど、また次の出勤の時にも目の端でそういう人たちを探してしまうのだろうなと思う。こういうことをしているから実際に自分が初対面の人と会うときにやりづらさが増幅するのに。
本当はあれこれ書きたかったが、明日はアルバイトのために7時半起床なので練ることにする。なんだかんだで頑張っている。
2021年上半期すきなものたち
アルバム
(対象作品:2020年12月1日~2021年5月31日に発売されたもの)
※各項目1アーティストにつき1枚ずつ
- Cassandra Jenkins『An Overview on Phenomenal Nature』(Ba Da Bing!)
- Alfie Templeman『Forever Isn’t Long Enough』(Chess Club)
- Erika de Casier『Sensational』(4AD)
- 平井堅『あなたになりたかった』(Ariola)
- U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS『たのしみ』(Golden Harvest)
- 冬にわかれて『タンデム』(KHOROGI)
- Lydia Ainsworth『Sparkles & Debris』
- CHAI『WINK』(Sub Pop/OTEMOYAN)
- Arlo Parks『Collapsed in Sunbeams』(Beatnik/Transgressive)
- Yerin Baek『tellusaboutyourself』(Blue Vinyl)
- Puma Blue『In Praise of Shadows』(Blue Flowers/[PIAS])
- Jimi Somewhere『Nothing Gold Can Stay』(Next Wave/Ultra)
- Zara Larsson『Poster Girl』(TEN/Epic)
- KID FRESINO『20, Stop it.』(Dogear/AWDR/LR2)
- aiko『どうしたって伝えられないから』(Pony Canyon)
- Julien Baker『Little Oblivions』(Matador)
- BROCKHAMPTON『ROADRUNNER: NEW LIGHT, NEW MACHINE』(Question Everything/RCA)
- Sinead Harnett『Ready Is Always Too Late』
- ミツメ『VI』
- Tune-Yards『sketchy.』(4AD)
- SIRUP『cure』(A.S.A.B/Suppage)
- Joyce Wrice『Overgrown』
- serpentwithfeet『DEACON』(Secretly Canadian)
- DAWN RICHARD『Second Line』(Merge)
- Rochelle Jordan『Play with the Changes』(UNDRGRND)
EP
(対象作品:2020年12月1日~2021年5月31日に発売されたもの)
※各項目1アーティストにつき1枚ずつ
- 折坂悠太『朝顔』(Less+ Project)
-
iri『はじまりの日』(Victor)
- Gallant『Neptune』(EMPIRE)
- Peach Tree Rascals『Camp Nowhere』(Homemade/10K Projects)
- Joey Maxwell『trying not to deep it』(Polydor/Universal)
- AJICO『接続』(Victor)
- Lucky Daye『Table for Two』 (Keep Cool/RCA)
- Jorja Smith『Be Right Back』(FAMM)
- Daya『The Difference』(Sandlot/AWAL)
- VanJess『Homegrown』(Keep Cool/RCA)
曲
(対象作品:2020年12月1日~2021年5月31日に発売されたもの)
※各項目1アーティストにつき1曲ずつ
- Cassandra Jenkins「Hard Drive」(Ba Da Bing!)
- Bren Joy「Fiji Fine」(Human Re Source/Warner)
-
向井太一「Love Is Life」(TOY'S FACTORY)
-
Le Makeup & Ryan Hemsworth「Moon Hit」(Pore Voyage)
- Sigrid「Mirror」(Island)
- 宇多田ヒカル「One Last Kiss」(Sony)
- Erika de Casier「Drama」(4AD)
- Lake Street Dive「Know That I Know」(Nonesuch/WEA)
- Daya「Bad Girl」(Sandlot/AWAL)
- FKA twigs, Headia One & Fred again...「Don't Judge Me」
- iri「はじまりの日」(Victor)
- SOPHIE & Autechre「BIPP (Autechre Mx)」(Numbers)
- butaji「acception」(FRIENDSHIP.)
- Sunni Colón「Provide」(TETSU)
- Patrik Jean「Tears Run Dry」
- Isac Elliot「Waving At Cars」(Island)
- 折坂悠太「針の穴」(Less+ Project)
- Gallant「Comeback.」(EMPIRE)
- BTS「Butter」(Big Hit)
- Hiatus Kaiyote「Get Sun (feat. Arthuer Verocai)」(Brainfeeder)
- Greyson Chance「Hellboy」(Arista)
- Silk Sonic「Leave The Door Open」(Aftermath/Atlantic)
- Lydia Ainsworth「Cosmic Dust」
- Pale Waves「You Don’t Own Me」(Dirty Hit)
- Laurel「You're the One」(Communion)
番外編
:楽曲の好き嫌いよりも個人的な感情の大きい5曲です。
倉木麻衣「ZEROからハジメテ」(NORTHERN MUSIC)
倉木麻衣に関しては新曲を出すたびにこの枠で登場させているのですが、存在が好きなので仕方がありません。新曲としては2019年8月以来、約1年半ぶりの作品だったのですが、タイトル、ジャケット、歌詞とどこを取っても全身が痒くなるような仕上がりで「SAWAGE☆LIFE」リリース当時のことを思いだしました(その直後に配信した「Can you feel my heart」はよかったです)。今回は『名探偵コナン』1000回放送記念に作られた楽曲で、MVではコナン君にちなんでスケボーに挑戦。序盤からなぜか傷だらけで倒れ込み、バーチャル空間をスケボーで駆け抜けるMai-K。「バズリズム02」出演時のスケボーで捌ける演出はかなりシュールでした。
瑛人「ピース オブ ケーク」(A.S.A.B)
昨年から気になる存在の瑛人が2021年初シングルとしてリリースした作品で、アニメ映画『トムとジェリー』の日本版主題歌。メディアに「彗星のごとく現れた天才アーティスト」扱いされることも度々ありましたが、本人は至って地に足をつけて活動していて頼もしいです。森山直太朗と同じセツナインターナショナルに所属しており、推し同士の絡みも見ていて楽しい。新曲を出してくれるだけでありがたいのですが、この狙ったのか狙っていないのか擦れ擦れのMVに瑛人のラップチャレンジ、流行らなかった #くるっとピースチャレンジもすべてが好きです。
James Newman「Embers」
あのJohn Newmanの兄であり、RudimentalやLittle Mix、倖田來未などにも楽曲提供をしてきたJames NewmanによるEurovision Song Contest 2021のエントリー楽曲。昨年大会にも「My Last Breath」という楽曲で出場予定でしたが、コロナウイルスの影響で止む無く中止、本人にとっても念願の出場でした。Eurovisionにおいてはどうしても政治的なカラーが投票結果に反映されてしまい、特にイギリスはBrexitなどの影響もありヨーロッパの人々からは投票が少ないのが事実。この結果、視聴者投票/審査員票ともに0ポイントという不名誉な結果で最下位となってしまいましたが、そのあとの彼のリアクションが頼もしくて涙ぐんでしまいました(この動画の1分30秒ごろから)。視聴者投票が0ポイントだったエントリーが他に3曲あったのですが、3アーティストとも、Jamesのこの行動とオーディエンスの反応に救われたのではないでしょうか。
Lil Nas X「MONTERO (Call Me by Your Name)」
色々な意味で話題となったMVも印象的でしたが、Saturday Night LiveやBET Awardsでのパフォーマンスが個人的にはとても心に響いて、「SUN GOES DOWN」のMVと共に「これからもついていきます」という気持ちになりました。2020年代の音楽史に残る作品になって欲しい。
谷村奈南「The Power of Unity」
確かな歌唱力がありながらスタイルのせいで性的に消費されてしまったイメージの強い谷村奈南の凡そ5年ぶりの新曲。半年間のアメリカへの留学の影響なのか、壮大なメロディーに乗せて「America」と歌う姿がおもしろPOINTでした。
6月が個人的に好きな曲のリリースラッシュだったのでこのリストに入れられないことが少し惜しい気持ちでした。
映画
(対象作品:2021年1月1日~2021年7月3日に自分が観たもの)
- 『君の心に刻んだ名前』(原題:刻在你心底的名字)/ 柳廣輝(2020・台)- 1月24日
- 『リトル・ダンサー』(原題:Billy Elliot)/ スティーブン・ダルドリー(2000年・英)- 5月22日
- 『アメリカン・ユートピア』(原題:American Utopia)/ スパイク・リー(2020・米)- 7月1日
- 『タンズ・タンタイド』(原題:Tongues Untied)/ マーロン・リグス(1989・米)- 6月29日
- 『フランシス・ハ』(原題:Frances Ha)/ ノア・バームバック(2012・米)- 4月3日
- 『サイダーハウス・ルール』(原題:The Cider House Rules)/ ラッセ・ハルストレム(1999・米)- 4月9日
- 『弱くて強い女たち』(原題:孤味)/ 許承傑(2020・台)- 2月10日
- 『スタンド・バイ・ミー』(原題:Stand by Me)/ ロブ・ライナー(1986・米)- 2月26日
- 『ミッドサマー』(原題:Midsommar)/ アリ・アスター(2019年・米/瑞)- 5月25日
- 『パーフェクトブルー』/ 今敏(1997年・日)- 5月31日
- 『マルコヴィッチの穴』(原題:Being John Malkovich)/ スパイク・ジョーンズ(1999年・米)- 5月21日
- 『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(原題:Bridesmaids)/ ポール・フェイグ(2012・米)- 1月12日
- 『幸福 しあわせ』(原題:Le Bonheur)/ アニエス・ヴァルダ(1965・仏)- 2月3日
- 『her/世界でひとつの彼女』(原題:her)/ スパイク・ジョーンズ(2013・米)- 5月2日
- 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(原題:Booksmart)/ オリヴィア・ワイルド(2019・米)- 1月8日
本
読んだ順番です。
- 「サピエンス全史(上・下)」ユヴァル・ノア・ハラリ
- 「大丈夫マン」藤岡拓太郎
-
「本当はちがうんだ日記」穂村弘
- 「ヒロインズ」ケイト・ザンブレノ
- 「きらきらひかる」江國香織
- 「短歌ください」穂村弘
- 「かもめのジョナサン(完成版)」リチャード・バック
- 「自分ひとりの部屋」ヴァージニア・ウルフ
- 「最初の悪い男」ミランダ・ジュライ
- 「絶叫委員会」穂村弘
Non-2021 Songs
:上半期に入ってから初めて知り好きになった曲や、久々によく聴くようになった曲たちです。
(対象作品:2020年12月1日以前に発売されたもの)
- 倉木麻衣「always」(2001)
- 陳昊森「刻在我心底的名字」(2020)
- Prince「I Wanna Be Your Lover」(1979)
- SIRUP「Your Love」(2020)
- 中森明菜「BABYLON (Remix Long Version)」(1985)
- ICONIQ「BYE NOW!」(2010)
- non albini「Kyoto (feat. Lil Soft Tennis)」(2020)
- Grace Jones「I’m Not Perfect (But I'm Perfect for You)」(1986)
- TRESOR「Dancing With The Moon」(2020)
- 小南泰葉「やさしい嘘」(2013)
1位の倉木麻衣「always」は、「ZEROからハジメテ」配信リリース時のキャンペーンで当選し、Mai-K本人とZOOMで通話させていただく機会を得たときに、本人が歌ってくれたために聴く頻度が一気に多くなりました。人生のテーマソングにしていきたい。2位の「刻在我心底的名字」は映画の項目で1位とした『君の心に刻んだ名前』の劇中歌。主演俳優である陳昊森(エドワード・チェン)が個人的Hot Guyレーダーに直撃したことも要因の一つでしたが、映画を観て号泣しながら聴いた思い入れの強い曲です。3位のPrince「I Wanna Be Your Lover」はJungleなどの音楽がきっかけで昔のファンクミュージックを探していたときに初めて知った曲。気づいたら聴いている親しみやすい曲でした。4位のSIRUP「Your Love」は、とにかく歌詞が好き。「言葉は諸刃の剣である」というのは常々思うことなのですが、それを軽快なリズムに乗せて歌ってくれるSIRUPは次世代のオピニオンリーダーとしてとても信頼しています。5位の中森明菜「BABYLON」のリミックスは、彼女のデビュー40周年を記念して行われているシングルのリマスター版配信がきっかけで初めて聴いたもの。2021年現在、世界的にリバイバルが起こっている当時のハウスミュージックを地でいっているリミックスで好きです。
「燃え尽きました」等
こんにちは、ワタシです。先日は留学先のニューカッスルでの日々をブログにまとめていこうと2つ記事を載せましたが、とんでもない大プロジェクトになること、そしてそれを終えられる自信がないことに気づき、こっそりと消しました(今こっそりではなくなりました)。またWordなどに少しずつまとめていって、いつか世に出せたらいいなと思います。
燃え尽きました
「ザ・ライフ・オブ・ワタシ」というタイトルながら、日常を綴った記事がなかなか載せられぬまま数か月が経ってしまいました。言い訳をするわけではないですが、昨夏から続けていた就職活動が今年に入ってから一気に本格化したことで多忙な日々を過ごしていました。一時は1週間に5~6回面接があるなど、スケジュールとしてももちろん忙しい時期はあったのですが、それよりも精神的に押し潰されていたことが大きかったと思います。「今はブログを書いている場合じゃない」「映画を観る時間がもったいない」…と自分で自分を規制し、自らの首を絞めるような日々でした(心や時間、お金の余裕がないと文化を楽しめないことを実感しました)。
ありがたいことに4月に入ってから2社から内定を頂くことができ、肩の荷が一気に降りました。優柔不断な自分なので納得して就職活動を終えるということができないのは端から承知していましたが、多分この2社のどちらかで決めると思います。置かれた場所で咲けますように。
実は4月半ばに初内定を頂いた直後、いわゆる「燃え尽き症候群」の様な状態になってしまい、2~3日は本当に夢か現かの状態になっていました。半年以上もの間、必死で続けていた就職活動。自分がここまで力を入れることができたのは「無職で卒業したくない」という不安からで、「将来こういうことがしたい!」というお手本の肯定的な動機とは正反対の気持ちで血眼になって焦っていた自分。その恐れがなくなった瞬間、空気の抜けた風船になってしまったのだと思います。
プレイリスト
2019年の10月から、1ヵ月に1~3個ずつ、新しく見つけた楽曲や改めてよく聴いた楽曲をプレイリストにまとめています。それは周りの友人たちやSNSでお世話になっている人たちに聴いてほしい音楽でもあるし、後で聴き直したときに自分が懐かしくなるような音楽でもあり。SNSで交流のある方々の多くが同様にプレイリストを公開しているので、それらを通した新たな発見があって嬉しい。Apple Musicでは各々のSNSアカウントと紐づけることができないので、Apple Music上でフォローし合っているだけの方々もいて、それはそれで新たな形の交流といった感じ。
いつも好きな曲を見つけるたびにプレイリストに追加しておいて、ある程度溜まったら順番を考えて公開することにしているのですが、4月前半は就職活動の佳境に差し掛かっていたこともあって、1ヵ月ほど放置してしまっていました。仕方なく2つのプレイリストに分けて公開することに(こういうことは度々あるのですが)。それにしても、物事が長続きしない自分にしては1年半以上続き、既にライフワークに近いものになっているプレイリスト作成。実はそれ以前からも季節ごとに音楽を選んだりして、勝手にDJ気分になっていました。自分自身が不定形で掴みどころがないと感じることが多いですが、「音楽が好き」という一点は自信を持って言えます。
こうして見てみると、自分で言うのもなんだけど「幅広いジャンルの音楽を聴いているな」と思います。自分は取捨選択が苦手な人間、裏を返せば好奇心の強い人間だと自覚しているのですが、それが顕著に表れるのがこういう部分なのでは…。
実は先日、このプレイリストを見たことがきっかけでTwitterをフォローしてくださった方がいて、とても嬉しかったです。以前にもApple Musicのアイコンのみで知っていた方にTwitterをフォローしていただいたことがあり、そのときは夢が現実にやって来たような不思議な気持ちでした。
読書
就職活動が落ち着いたこともあって、最近は本をたくさん読んでいます。4月の1ヶ月間でも、『かもめのジョナサン(完全版)』、『冷静と情熱のあいだ (Rosso)』、『ヒロインズ』、『きらきらひかる』、『かわいいウルフ』の5冊を読みました。
江國香織は吉本ばななと並んで自分の大好きな作家さんの一人なのだけど、あとはそれぞれに出会いがあって読んだ本たち。『かもめのジョナサン』は、NCTのジェノが愛読書に挙げていたのを偶然目にして買ってみた。「NCTの中ならジェノが好き」程度で、ファンでもない自分ではあるけど、世界で活躍するK-Popアイドルの頭の中を少し覗き見してみたかったのかも。衝撃的な結末が加えられた「完全版」だったので、彼がどちらを読んだかによってその部分はかなり揺らぎ得るとは思うけど、小説としてとても読みやすく、寓話としても非常に心に響くものがありました。海外文学を読むようになったのはこの1~2年だったので、入門本としてもよかった。自分を見失いそうになったとき(というのがちょうど読んだ頃と合致しますが)、また立ち返りたい本。
『ヒロインズ』はアメリカ人作家Kate Zambrenoによるエッセイ/小説。活字恐怖症の母親に言わせると「本の厚さを見ただけで吐き気がする」ような、『かもめのジョナサン』とは対照的な難易度の本でした。以前からフェミニズム文学に興味があった自分の"ほしい物リスト"には常に入っていたのですが、その長さと価格からなかなか手が伸びず。出版社であるC.I.P. Booksの関係者でもある知り合いが「版元在庫がなくなったから今のうちに買わないと入手困難になる」と教えてくれたことで、急いで書店に足を運んだのでした。
この作品が教えてくれた、歴史や社会に常に疑問を持ち続けることの大切さ。ついSNSで氾濫する情報にさらされ続けると忘れそうになるので、覚えておきたい。その点でも、武田砂鉄『わかりやすさの罪』もそろそろ読みたいなと思っています。ちなみに就職活動の一環で三島市に寄った際、このC.I.P. Booksの拠点であるCRY IN PUBLICにお邪魔したのもいい思い出です(訳者の方に会えてとても嬉しかった)。
『かわいいウルフ』は、近年再評価も高まるイギリス人小説家、Virginia Woolfのファンブックで、小澤みゆきさんという方が編集した同人誌が元になっているそう。『ヒロインズ』の中に現れる夥しい数の引用に自分の無知を改めて知らしめられ、「ウルフを読もう!」と書店に行ったのがきっかけで購入しました。
友人とある書店に訪れた際、ウルフの作品があるかどうか問い合わせたときに「注文はかけているけど、印刷の遅れがあってまだ入荷がない(某人気漫画の大ヒットの影響で印刷所に遅れが出ているそう。スゲー)」と言われてしまい、代わりに入門ガイドとしてこの『かわいいウルフ』を購入したのでした。ウルフ作品と言えば『ある協会』しか読んだことのなかった私、ウルフ本人についても『ヒロインズ』での記述のみでしか知らなかった私。この膨大な愛と情報量を湛えたファンブックで彼女について学ぶとともに、「ヴァージニア・ウルフ」という一人の人物に対してここまで幅広い考察の仕方、愛し方があるか…とワクワクしながら読み終えました。
ちなみに書店に訪れた翌日、書店のInstagramストーリーにて「ウルフの作品が入荷しました!」と書かれていたので、1週間ほど後に再訪。店主の方も私のことを覚えてくださっていて、「よかった~」と喜んでくれたのが嬉しかったです。
ようやく手に入れることのできた『自分ひとりの部屋』はちょうど今読んでいる最中。ウルフのユーモアや賢さが存分に楽しめるとともに、当時とちっとも変っていないこともあって改めて現状に危機感を覚えざるを得ません。だからこそ彼女がこうして時を越えて愛されているのかもしれないけれど。あとこれはあまりに自分事にしすぎているかもしれないけれど、私も自分ひとりの部屋が欲しいなと素直に思う。あと1年の辛抱?
断捨離できない
4月30日(金)、ゴールデンウイーク2日目は連休中唯一の活動的な日。大学の先輩であり、音楽を通して繋がった友人のような存在の人とランチ。彼が1年ほど前から気になっていたという「babooshka」というカレー屋さんへ。
古民家風の店内で頂くバターチキンカレーは、私の歴代カレーランキング上位にランクイン。駅から結構歩くけれど、それでもまた何度も行きたいお店でした。
ランチのあと近くのスターバックスでお茶をしているとき、先輩に「文句を言いながらも周りの人たちと広く関わっているところ」のが私のいいところだと言われた。言われてみれば、自分から人間関係を絶とうとしたことはほとんどなかったように思える。苦手だなと感じる人も含め、何となく取り繕って、向こうから離れるまでは特に突き放すようなことはしない。だからSNSのフォロワーを整理するのも気が引けるし、どこか悪いことのようにすら思っている自分もいる。物も人も手放すことがとても苦手なのは、いいことでも悪いことでもあると思う(その代わりと言っては何だけど、記憶のように形のないものは人より早く忘れる)。
マイナンバー
4月30日、先輩と別れたあと別の友人宅で夜ご飯を食べて帰宅。帰りの電車の中でまた別の友人から「マイナポイントをもらうためにはマイナンバーカードを今日までに申請しなければならないから、急いで手続きをしている」とLINE。自分は留学前にID代わりにマイナンバーカードを作っていたけれど、母親と弟は持っていなかったよなあと思う。その日は夜遅くまで友人宅にいたので家に着くのが11時45分くらいで、帰宅後、嵐のように母親に「マイナポイント欲しい?!」「じゃあ2人分の申請書出してきて!?」と伝える。何とか間に合ったものの、二人とも寝る前のボサボサの頭に背景は白の襖で、目に見えて「急いで申請したんだな…」と分かる仕上がりに。本当に「ドタバタ」という言葉がぴったりで、私が手続きしているときに母親は眉毛を描いていたり。ちなみに弟は「急に気持ち悪い」と言いながらも写真撮影の際は協力的で笑ってしまった。3人で15,000円得をしたと喜んでいる自分、下品だけどそういうところが一番自分らしい。
ここ最近のあれこれ
幼い頃に大人が口々に言っていた「大人になると時間が過ぎるのが早くなる」というのを身を持って経験している。心のもちようは当時とさほど変わらないのに時間感覚だけが、大人に近づいていて不安だ。「若いうちに新宿二丁目に行く」という目標、期限がかなり近い気がする(もう期限切れかも)。
就活
2月になって就職活動がとうとう始まろうとしている、というか人によってはもう終わっている。交換留学をした関係で学年が1つ落ちているので、周りの友人は大体就職活動が終わっている。他人と比較するのはよくないと分かっていても、友人たちやアルバイト仲間の就職先を聞くと、その華々しい企業名の数々にプレッシャーを感じてしまう。バイト先の方々が「〇〇ちゃん、〇〇に就職だって。すごいね~」などと話しているのを聞くたびに、「来年の今ごろ自分もすごいねと言われなければ」と思う。常に他人と比較してしまうのは自分の悪いところ。何とか自分のペースを大切に、優先順位を意識してやっていきたい。
Podcast
1月22日、昨年末からこっそり始めていたPodcastをようやく自分のSNSで宣伝した。高校時代にTwitterを通して仲良くなり、今では同じ大学、同じ学科の先輩でもあるソータと始めたものだった。言い出しっぺは自分だったのに、各プラットフォームで公開した途端に恥ずかしさが勝って、なかなか周囲に明かすことができなかった。いざ始めてみると友人たちから反応があって、嬉し恥ずかしの気持ち。特にSNS上のみで関わっている方々は私の声を聞くのが初めての方も多いはずなので、自分の知らないところで聞かれていると思うとこっぱずかしい気持ちが大きい。
Podcastの録音を通して、ソータの英才教育さながらの音楽遍歴を改めてちゃんと聞くことができたのがとても楽しかった。Podcastにはないのだけど、小3の頃親戚にもらったお金でKylie Minogueの映像作品を購入したというエピソードが飛び出たときは腹がよじれるくらい笑った。
先日もブログで紹介させていただいたのですが、改めてこちらに貼っておくのでよろしければ聞いていただけると嬉しいです。
風呂
昔から、その日に思い通りにいかなかった会話や、翌日以降するかもしれない会話をほぼ無意識的にお風呂で始めてしまうことがある。ふと自分がその日の会話をやり直していることに気づいたときは本当に恥ずかしい。人間はみんな無理をするたびにどこかで綻びが出てしまうと思うのだけど、そんな綻びのちいさな一つ。
よくミュージシャンの方が「シャワーを浴びている瞬間に曲が下りてくるんです」と言うのを耳にするし、お風呂ってなんだか不思議な空間だなと思う。人が一人きりで裸になる瞬間とか、水とか。
『君の心に刻んだ名前』
『君の心に刻んだ名前(原題:刻在你心底的名字)』をNetflixで観る。単なるボーイズラブ映画に終始せず、戒厳令、キリスト教(カトリック)、性的少数者の権利活動など、様々な要素から成る映画だった。男性同性愛者と結婚した女性異性愛者の寂しさや、歴史の中で想いを閉じ込めるしかなかった青年たちの未来の姿までを効果的に映し出すことができたのは、自身も男性同性愛者である柳廣輝監督だからこそだと思う。同性愛嫌悪を内包してしまっている様子のBirdyが気持ちを抑えきれなくなってしまうシャワーのシーンは、当時を同性愛者として生きてきた当事者しかあれほどの説得力を以て描けないと思う(泣きました)。
映画には1980年代半ばから台湾でいち早くLGBTQの権利活動を行ってきた祁家威も登場する。2019年5月に台湾はアジアで初めて同性婚を合法化した国となったが、こういった今の生きやすさの裏には祁はもちろん、主人公たちのような人々の犠牲や尽力があったことを忘れてはならない。映像としても非常に美しくて、映画鑑賞後まだ鼻水も涙もズルズルの状態で誠品書店のウェブストアから映画の写真集を購入してしまった。こういう時の行動力は人一倍あると思っているが、これがいいことかどうかは到底怪しい。
この映画は、盧廣仲(クラウド・ルー)の歌う主題歌「刻在我心底的名字」と共に台湾国内では大ヒットを記録し、2020年の年間興行収入ランキングでは2位を獲得したそう。こういったテーマの映画がこれほど国内で観られているという風土も素敵。ちなみに先日ランキング1位の『弱くて強い女たち(原題:孤味)』も観たのだけど、こちらもとても良かったので折を見てブログで取り上げることができたらいいなと思う。
日本デビューも果たしているクラウド・ルーの歌う主題歌(映画内で主人公が作ったという設定)も映画に負けないくらい良い。
一方で、食わず嫌いなのかもしれないけれど、どうしても国内の同性愛(特に男性同性愛者)を扱った映像作品は、ゲイカップルが過度にフェティシャイズされているような気がして観る気が起きない。観る前から判断するのはよくないはずなので、『窮鼠はチーズの夢を見る』から始めてみようと思う。の途端、Google検索の検索候補に「ベッドシーン」と出てきて、ちょっと観る気が失せた。
コンビニバイト
「社会勉強!」と思ってコンビニで週に1度ほどアルバイトをしているのだけど(お気楽ですよね)、コンビニ店員って人間だと思われていないな、と思うことが度々ある。こちらがする会話への反応とか、本当に些細なことでそういうことを感じる瞬間があるのだけど、自分の直感は間違っていない気がする。実は僕、人間じゃないんです、コンビニ店員なんです。
Melodifestivalenについて③
- Melodifestivalen 2021出場者ラインナップ②
- Julia Alfrida「Rich」(初)
- Kadiatou「One Touch」(初)
- Klara Hammarström「Beat of Broken Hearts」(2)
- Lillasyster「Pretender」(初)
- Lovad「Allting är precis likadant」(初)
- Mustasch「Contagious」(初)
- Nathalie Brydolf「Fingerprints」(初)
- Patrik Jean「Tears Run Dry」(初)
- Paul Rey「The Missing Piece」(2)
- Sannex「All Inclusive」(初)
- Tess Merkel「Good Life」(6)
- The Mamas「In the Middle」(2)
- Tusse「Voices」(初)
- WAHL featuring SAMI「90-talet」(初)
- おわりに・視聴方法など
今回の記事では、私が愛してやまないスウェーデンの音楽祭「Melodifestivalen」についてご紹介。愛が溢れる3本立てでお届けします。
- Melodifestivalenについて①
- Melodifestivalenについて②
- Melodifestivalenについて③(当記事)
今回の記事では、前回に引き続き、Melodifestivalen 2021の出場者についてご紹介させていただきたいと思います。この記事がきっかけで皆さんがMelodifestivalenをより楽しめるようになりますように!
Melodifestivalen 2021出場者ラインナップ②
Julia Alfrida「Rich」(初)
こちらも初出場となるJulia Alfrida。スウェーデンのラジオ局P4 Nästaが主催するコンテストで入賞したことがきっかけでMelodifestivalen 2021の出場権を掴みました。
過去の楽曲はBillie Eilishなどを彷彿させるダークポップで、本人もBillieやTove Lo、Charli XCXなどに影響を受けたことを公言。また、自身がLGBTQ+の一員であることも公表しています。
これまでリリースしてきた楽曲はどれもMelodifestivalenにはあまりそぐわない暗い曲調のような気もしますが、Eurovision 2020のブルガリア代表はモロBillie Eilishのような楽曲で出場予定だったので意外といけるのかも。今回のエントリー楽曲「Rich」の共同制作者であるJimmy JanssonとMelanie Wehbeはともに過去のMelodifestivalen楽曲を多く手掛けており、どういった仕上がりになるのか注目です。
Kadiatou「One Touch」(初)
過去に Måns ZelmerlöwやLoreen、Danny Saucedo、Darinなど多くのトップスターを輩出してきたオーディション番組「Swedish Idol」の2018年版で準優勝を果たしたKadiatouが満を持してMelodifestivalenに初出場。
2020年はWilliam Stridh、2019年はRebecka KarlssonとZeanaと、毎年のように「Swedish Idol」入賞者の中から新人としてMelodifestivalenに初出場するアーティストがいるように思います。
Klara Hammarström「Beat of Broken Hearts」(2)
Melodifestivalen 2020に「Nobody」で初出場、惜しくも予選敗退となってしまったKlara Hammarströmが2年連続で出場。個人的に前回のパフォーマンスがかなりお気に入りだったので、今回またこうして見られることが非常に嬉しいです。
また今回のソングライター陣には私がスウェーデンのHot Guyとして絶賛注目中のAndreas Wijkのほか、先述のFredrik KempeやDavid KreugerなどMelodifestivalen常連組が名を連ねており、今度こそ決勝戦に出場するべく最強の布陣となっています。
Lillasyster「Pretender」(初)
16年のキャリアを誇るハードロックバンドがキャリア初となるMelodifestivalenに出場(なぜ?)。楽曲名はヒゲダンのあの曲と同名の「Pretender」。
フィンランドと共にメタル/ハードロック大国であるスウェーデン。2006年に「Hard Rock Hallelujah」でフィンランド代表として出場したハードロックバンドのLordiは見事優勝を果たすとともに、大きなインパクトを残し、映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』でも彼らを模したキャラクターが登場しました。
Lovad「Allting är precis likadant」(初)
こちらも初登場、ティーレソー出身の28歳、Lovadです。2020年のMelodifestivalenにも出場したAlbin Johnsénとの「Vi gjorde vårt bästa」などで知られる彼女が、そのAlbinや元E.M.D.のメンバーMattias Andréassonらがペンを握った「Allting är precis likadant」で初出場を果たします。
Agnesを思わせるハスキーなボーカルと確かな歌唱力が魅力の彼女、Melodifestivalenのステージでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか期待です。
Mustasch「Contagious」(初)
こちらもLillasysterと同じく初出場のハードロックバンド(なぜ?)。1998年に結成、なんと22年のキャリアを誇る大御所バンドです。こちらは全くMelodifestivalenと縁がないというわけでもなく、ボーカルを務めるRalf Gyllenhammarが2013年に「Bed on Fire」で出場、決勝で7位の成績を収めました。
このコロナウイルスが蔓延する中で「Contagious(伝染性の)」というタイトルをつけた彼ら。楽曲の内容が気になります。
Nathalie Brydolf「Fingerprints」(初)
Kadiatouと同じく、2018年に「Swedish Idol」に出演した人物。オーディション番組出演時には6位と結果は振るわなかったものの、堂々としたパフォーマンスでインパクトを残しました。
まだオリジナル楽曲を発表したことのない彼女。音楽性含め未知数なところが多く、大会から3年経った今の実力はいかに。ある意味今回のダークホースかもしれません。
Patrik Jean「Tears Run Dry」(初)
歌手として活動する傍ら、Felix Jaehnを始め多くのアーティストに楽曲提供をしてきたPatrik Jeanが初出場。The MamasをMelodifestivalen 2020優勝に導いた「Moves」の制作にも参加しています。
今回のエントリー楽曲「Tears Run Dry」の制作陣には、ともに「Moves」の制作を担当したMelanie Wehbeと、過去にMelodifestivalenに出場したRobin BengtssonやVictor Croneの楽曲を手掛けてきたHerman Gardarfveが名を連ねており、まさに近年のMelodifestivalenを支えてきたメンツがそろっています。
Paul Rey「The Missing Piece」(2)
Melodifestivalen 2020に「Talking In My Sleep」で出場し、6位の成績を収めたPaul Reyが2年連続出場を決めました。コーラスでの振り付けが印象的な「Talking In My Sleep」は大会の結果こそ振るわなかったものの、国内チャートでは8位を記録、自身最大のヒット曲となりました。
2020年11月に第1子を迎えたばかりの彼、2021年にリリース予定のEPは父親になること、子供を育てることについてのものになるそうです。父親になりより深みを増した彼の楽曲やパフォーマンスに注目です。
Sannex「All Inclusive」(初)
1977年に結成された大御所ダンスバンドがまさかの初出場。今回はベテラン勢の初出場が目立つような気がします。
エントリー曲のタイトル「All Inclusive」はまさにMelodifestivalenやEurovisionのモットー。LGBTQ+、特にゲイからの人気が高い音楽大会としても知られるMelodifestivalenに、彼らのようなキャリアの長いバンドがこういったタイトルの楽曲で参加することが何となく嬉しいです。
Tess Merkel「Good Life」(6)
主に2000年代にスウェーデンで人気を博したダンスポップバンド、Alcazarのメンバーとして知られるTess Merkelがソロとしては初の出場に。すでにAlcazarのメンバーとして2003年から5回の出場経験があり、そのほかバッキングボーカルとしてもMelodifestivalen 1993のLena Pålsson「Sjunde himlen」をはじめ、複数回出場しています。また、Alcazarは「Crying at the Discoteque」や「This Is the World We Live In」などのヒット曲で世界的に知られており、前者は先日Sophie Ellis-Bextorによってカバーされたことで再注目されました。
The Mamas「In the Middle」(2)
言わずもがな、Melodifestivalen 2020で優勝を果たしたものの、コロナウイルスの影響でEurovision Song Contest出場が絶たれてしまったThe Mamasが2年連続出場。悲願のEurovision出場を目指します。
元々はMelodifestivalen 2019の優勝曲、John Lundvik「Too Late for Love」のバッキングボーカルを務める4人組として結成されたThe Mamas。1人の脱退を経て、「Move」で初出場、初優勝を果たしました。
今回のエントリー楽曲「In the Middle」の制作陣の1人にはRobin Stjernbergの名前が。「Idol 2011」出身者の彼は、Melodifestivalen 2013に「You」で出場し優勝経験もあります。また、Melodifestivalen 2017の優勝曲、Robin Bentsson「I Can't Go On」のソングライターも担当しており、メインアーティスト/ソングライターとして既に2回の優勝を経験。今回、この楽曲で3度目のEurovision出場を果たし、悲願の優勝を収められるでしょうか。
Tusse「Voices」(初)
「Idol 2019」で優勝し、オリジナル曲「Rain」で見事デビューを果たしたTusseが初出場を決めました。2002年生まれの19歳、今回の出場者では最年少となります。
今回の楽曲「Voices」は多くのMelodifestivalen楽曲を手掛けるAnderz Wrethov、Jimmy Thörnfeldt、Linnea Deb、Joy Debの4人が制作を担当。Anderz Wrethovは嵐やNEWSなどにも楽曲提供をした経験を持ちます。ジャニーズ関連の楽曲を見ると度々スウェーデンのミュージシャンがクレジットされている気がします*1。
WAHL featuring SAMI「90-talet」(初)
スウェーデンのヒップホップデュオ、MedinaとSödraSidanからそれぞれのメンバーがタッグを組んでの初出場。ヒップホップアクトによるスウェーデン語楽曲での出場というと、Melodifestivalen 2020のAnis don Demina「Vem e som oss」の枠なのでしょうか。
おわりに・視聴方法など
Melodifestivalenへの愛が溢れすぎて、今までのどの記事よりも長く書いてしまいました。最後までお付き合いくださった方々、本当にありがとうございました。本来は1つの記事でお届けする予定が、15,000字を超えてそろそろ「ヤバイぞ…」と思い始めたので、思い切って3分割してみました。
もしこの記事を読んで一緒にMelodifestivalen 2021を観てくださる人がいらっしゃれば嬉しく思います。各予選の日本時間は下記を参照。時差により日本時間では早朝になってしまいますが、オンデマンドでの視聴もできます。視聴はMelodifestivalenを放送するテレビ局、SVTのウェブサイトからどうぞ。
- 第1予選:2月7日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 第2予選:2月13日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 第3予選:2月20日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 第4予選:2月27日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 敗者復活戦:3月7日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 決勝戦: 3月14日(日) - 4:00~6:00(日本時間)
どの予選にどのアーティストが出場するのかは、英語のページにはなってしまいますが、こちらで確認することができます。また、私を含めスウェーデン語がさっぱり分からない人たちのために、Melodifestivalenの情報をアップデートしてくれるSNSアカウントやサイトがいくつかあります。TwitterのMelodifestivalen (en)はその名の通り、Melodifestivalenの情報を英語でツイートしてくれる公式アカウント。そのほかにも、スカンディナヴィア半島のポップミュージック情報を主に発信するScandipopというサイトでも情報は見られますし、Eurovision全体の情報サイトとして圧倒的な情報量を誇るWiwibloggsも要チェックです。
また、友人ソータとのPodcast「カツヤとソータのConfessions on a Podcast」でも約20分でMelodifestivalenについての魅力を語ってみました。もしお時間が許せば、ぜひこちらもチェックしてみてください。
この記事があなたのMelodifestivalenライフのきっかけとなりますように!
Melodifestivalenについて②
- Melodifestivalen 2021出場者ラインナップ①
- Alvaro Estrella「Baila Baila」(3)
- Anton Ewald「New Religion」(3)
- Arvingarna「Tänker inte alls gå hem」(6)
- Charlotte Perrelli「Still Young」(4)
- Clara Klingenström「Behöver inte dig idag」(初)
- Danny Saucedo「Dandi dansa」(4)
- Dotter「Little Tot」(3)
- Efraim Leo「Best of Me」(初)
- Elisa「Den du är」(2)
- Emil Assergård「Om allting skiter sig」(初)
- Eric Saade「Every Minute」(4)
- Eva Rydberg & Ewa Roos「Rena rama ding dong」(2)/(初)
- Frida Green「The Silence」(初)
- Jessica Andersson「Horizon」(8)
- おわりに
今回の記事では、私が愛してやまないスウェーデンの音楽祭「Melodifestivalen」についてご紹介。愛が溢れる3本立てでお届けします。
- Melodifestivalenについて①
- Melodifestivalenについて②(当記事)
- Melodifestivalenについて③(2021年1月24日22時公開)
前回は「Melodifestivalen」という音楽大会そのものについてご紹介しましたが、今回の記事では今年2月に開催予定のMelodifestivalen 2021にエントリーされている楽曲・アーティストについてご紹介させていただきます。
Melodifestivalen 2021出場者ラインナップ①
長々とMelodifestivalenについて書いてきましたが、今年2021年のMelodifestivalenは予定通りいけば2月6日に第1予選が開催される予定。それに先駆け、Melodifestivalen 2021の出場者と出場曲一覧をご紹介。非常に長いので速読する気持ちでご覧ください(五十音順)。
Alvaro Estrella「Baila Baila」(3)
チリに出自を持つシンガー/ダンサー。2014年に「Bedroom」で出場も惜しくも予選落ち、昨年には同じくチリ系のアーティストMendezの客演アーティストとしてともに「Vamos Amigos」を披露し、決勝に出場、11位を記録しました。
昨年披露した「Vamos Amigos」は、近年ヒットしているMalumaやBad Bunny、Rosalíaなどラテン音楽を意識した内容。コテコテのユーロポップ作品や壮大なバラード曲が上位に選ばれやすいMelodifestivalenの中で、自身のバックグラウンドとも共鳴する楽曲を送り込んだのは素晴らしいことだと思いますし、会場大盛り上がりの楽しいパフォーマンスでした。
前述の通り、ダンサーとしても活躍してきたAlvaroですが、2012年には後述のDanny Saucedo「Amazing」のバックダンサーとしても出場を果たしました。
Anton Ewald「New Religion」(3)
こちらも同じくダンサー、そして振付師としてのキャリアも持つシンガー、Anton Ewald。弱冠16歳にしてMelodifestivalen 2009でVelvet「The Queen」のバックダンサーを務めたあと、2012年にはDanny Saucedoの「Amazing」のバックダンサー兼振付師として出場。つまり先ほどのAlvaroとは既に8年前に同じステージでパフォーマンスしていたんです!分かりますか?この感動。
メインアーティストとしては2013年に「Begging」で、2014年に「Natural」で出場し、どちらも決勝出場しました。特に前者は決勝で4位とEurovision出場は叶いませんでしたが、楽曲がスウェーデン国内で大ヒットしました。2016年から数年間はANTONとして世界に視野を広げた活動を展開*1、近年はモデル業で生計を立てていたそうですが、今回7年ぶりに満を持して出場します。
Arvingarna「Tänker inte alls gå hem」(6)
1989年の結成からなんと6回目の出場となる、スウェーデンを代表するダンスバンド(Dansband)*2。初出場を果たした1993年には、「Eloise」で見事優勝を果たし、Eurovision Song Contestに出場、7位の好成績を収めました。
ボーイバンド的立ち位置の彼ら、キャリア30年目に出場したMelodifestivalen 2019で披露した「I Do」はBackstreet BoysやTake Thatのようにキャリアを積んだボーイバンドにしか出せない渋みがあって非常に良かったです。
また2021年のエントリー曲「Tänker inte alls gå hem」にはMelodifestivalenと縁の深いソングライター達が多数参加しており、その中にはMelodifestivalen 2020で「Carpool Karaoke」で出場し、予選敗退したもののThe Late Late Show with James Cordenで取り上げられるなど大きな注目を集めたNanne Grönvall、Loreenによる2012年のEurovision Song Contest優勝曲「Euphoria」など多数のEurovision関連楽曲を手掛けてきたThomas G: son、そして同じく多数のMelodifestivalen出場曲を手掛けるBobby Ljunggrenなどが含めれています。
Charlotte Perrelli「Still Young」(4)
Arvingarnaと同じくこちらもMelodifestivalen常連のCharlotte Perrelli。Anders Engbergs、Wizexと2つのダンスバンドのメンバーとして活躍したのち、1999年にMelodifestivalen 1999に初出場。「Take Me to Your Heaven」でなんと優勝、その後のEurovision Song Contest 1999でも優勝を果たし、スウェーデンに当時4回目の優勝をもたらしました。2003、2004年と2年連続でMelodifestivalenの司会者を担当したのち、2008年には「Hero」で再び大会に出場、またしても優勝を勝ち取りましたが、Eurovision Song Contest 2008では18位と振るわず。Melodifestivalen 2012への出場をはさみ、今回7年ぶりの出演となります。
また、スウェーデンを代表する女性歌手の一人である彼女は、2019年のEurovision Song Contestがスウェーデンのテレビで放送された際の解説者も担当。この大会が開催されたイスラエル出身のEurovision優勝経験者、Dana Internationalとのデュエット曲「Diva to Diva」もリリースしました。今回の出場曲のタイトル「Still Young」含め、スウェーデン1香ばしいDIVA。
Clara Klingenström「Behöver inte dig idag」(初)
Melodifestivalen初出場となるスウェーデンはヴィスビュー出身の25歳。まだキャリアの浅いシンガーですが、同じくスウェーデン出身のVeronica Maggioなどを思わせる軽快なスウェーデン語ポップスが心地よいシンガーです。Melodifestivalenではどちらかというとインパクトの強いポップを歌い、豪華なステージパフォーマンスを行うアーティストが多い印象なので、彼女のようなシンガーがどういったステージを見せてくれるのか楽しみです。ちなみに出場曲「Behöver inte dig idag」は英語で「Don't Need You Today」という意味。
Danny Saucedo「Dandi dansa」(4)
「ちょっと待て」と思われた方、そうです。Alvaro EstrellaとAnton Ewaldが2012年にバックダンサーを務めた「Amazing」を歌っていたその人こそ、このDanny Saucedo。2006年にスウェーデン版American Idolの「Idol 2006」に出場したことがきっかけとなり、歌手デビュー。ソロ歌手として、そしてボーイバンドE.M.D.のメンバーとして活動を始めました。デビューアルバムであり、ゴリゴリのユーロポップ作品『Heart Beats』がいきなり国内1位を記録、実は2008年にはこのアルバムで日本デビューも果たしています*3。
MelodifestivalenにはE.M.D.として2009年に「Baby Goodbye」で初出場し、3位を記録。ソロでは2011年、2012年と2年連続出場するものの、惜しくも2回とも2位という結果に終わっており、Melodifestivalen 2021では念願の優勝が望まれます。また、2013年にはMelodifestivalenの司会も担当、現在までリリースしたアルバムはすべてトップ3を記録するなど、スウェーデンを代表する男性歌手の一人です。Melodifestivalenとは関係ありませんが、彼の楽曲「Delirious」は純粋に名曲。
Dotter「Little Tot」(3)
Melodifestivalen 2020では照明を効果的に用いた独特なコレオグラフィーも話題となった「Bulletproof」をパフォーマンスしたDotter。The Mamasと優勝を争いましたが、なんと1ポイント差で2位となってしまいました。Melodifestivalenには2018年の「Cry」で初出場を果たし、今回が3度目の出場となりますが、ここ数年間は彼女の名前を大会で見ない年はありませんでした。Melodifestivalen 2017では4位に終わったMarietteのエントリー曲「A Million Years」にソングライターとして登場*4。「Cry」での初出場を挟み、Melodifestivalen 2018では、2015年のMelodifestivalen/Eurovision優勝者Måns Zelmerlöw*5と「Walk with Me」をインターバルアクトとしてパフォーマンスしました。Ellie Gouldingらを彷彿とさせるユニークな声質も魅力。
「Bulletproof」でのアイコニックなパフォーマンスで多くのファンを獲得した彼女、今年の出場を望んでいた人も多くいることだと思います(私もその一人です)。ちなみに私、会場でこのDotterビームを浴びてきたので不老不死になったかもしれません。
Efraim Leo「Best of Me」(初)
Red Velvet「#Cookie Jar」の制作も担当するなど、ソングライターとしても活躍する23歳のシンガーソングライター。Melodifestivalenは初出場となります。近年はFelix SandmanやBenjamin Ingrossoなど、甘いマスクの若手男性シンガー枠が常にあったような気がしますが、今年は彼がその枠を担当ということなのでしょうか。
Melodifestivalen 2021のエントリー曲「Best of Me」は昨年の優勝曲、The Mamas「Move」も担当したHerman Gardarfveがソングライティングを手掛けているということで、期待が高まります。
Elisa「Den du är」(2)
スウェーデン国内で絶大な人気を誇るダンスバンドElisa'sのボーカリスト、Elisa Lindströmが7年ぶりに出場。14歳の頃にはジュニア版EurovisionであるJunior Eurovision Song Contestのスウェーデン代表を決める大会、Lilla Melodifestivalen 2005に出場した経験も持ちます。
Melodifestivalen 2014に「Casanova」で出場した際は、惜しくも予選敗退してしまった彼女ですが、今回はどれだけ結果を残せるのか注目です。
Emil Assergård「Om allting skiter sig」(初)
既にスウェーデン国内では人気歌手としての地位を確立しているEmil Assergårdが満を持してMelodifestivalenに初出場。
2016年の楽曲「All In」がヒットし、2019年にリリースしたアルバム『Leva livet / En samling』が5位を記録するなど、着実に人気を伸ばしている彼ですが、楽曲はよく言えば懐かしい、悪く言えばダサいものが多め。Melodifestivalenで上位にランクインする楽曲はそういった楽曲が多い印象なので、初出場でどこまで得点を得られるか個人的に非常に注目しているアーティストの一人です。
Eric Saade「Every Minute」(4)
私がMelodifestivalenにハマるきっかけとなった「Popular」を歌っていたのが彼、Eric Saade。2010年に「Manboy」で初出場を果たしてから、通算4度目の出場となります。Melodifestivalen 2011で披露した「Popular」は見事優勝を収め、Eurovision Song Contestでも3位の好成績を残しました。デビュー時から「これぞEurovision!」といったユーロビート調の楽曲を多くリリースしてきましたが、2013年ごろからはR&B、ダンスミュージックなど様々なジャンルを取り入れた試行錯誤の時期が続きます。2016年の「Wide Awake」こそリミックスバージョンがロシアでヒットしましたが、その後は目立ったヒットが出ず。2020年リリースの自身初となる全編スウェーデン語アルバム『Det svarta fåret』は国内チャートの圏外となってしまいました(めっちゃ好きですが)。
Melodifestivalen 2019での司会担当を挟んで、4回目の出場となる今回。以前から大ファンである自分としても、今回の大会で爪痕を残して、低迷している人気が回復することを願います。
Eva Rydberg & Ewa Roos「Rena rama ding dong」(2)/(初)
合計年齢148歳という大御所タッグ。コメディアンとしても知られ、Melodifestivalen 1977(!)に「Charlie Chaplin」で出場したEva Rydbergとミュージカル女優としても活躍するEwa Roosのデュエットです。
今回のエントリー楽曲「Rena Rama Ding Dong」の「Ding Dong」は、2020年にNetflixで公開されたEurovisionをテーマとした映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』の劇中歌、「Jaja Ding Dong」のパロディーと思われます。制作陣にはAce of BaseやWaldo's Peopleなど懐かしい面々の楽曲を担当してきたAri Lehtonenらが名を連ねています。
Frida Green「The Silence」(初)
スウェーデン国内で1位を記録する大ヒットとなったBadpojkenの「Johnny G (The Guidetti Song)」でボーカルを務めたことから一躍注目の的となったシンガー、Frida Greenも初出場。
今まで発表してきた3曲のオリジナル楽曲はどれもアコースティック調のものばかり。今回のMelodifestivalenではどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか期待です。また、今回のエントリー楽曲「The Silence」のソングライターには、Melodifestivalen 2020に「Kingdom Comes」で出場し、3位の好成績を収めたAnna Bergendahlが名を連ねています。
Jessica Andersson「Horizon」(8)
衝撃の通算6回出場を誇るMelodifestivalenの常連シンガー、Jessica Anderssonが8回目の出場。
2003年にMagnus Bäcklundとのデュオ、Fameとして「Give Me Your Love」でMelodifestivalenに初出場、見事優勝を果たし、Eurovision Song Contest 2003では5位を記録しました。その後、Melodifestivalen 2006にソロ歌手として「Kalla nätter」で出場を飾るものの、予選敗退、最も直近の2018年大会では「Party Voice」でエントリーし、見事決勝に勝ち進みました。
今回の「Horizon」は計4回のMelodifestivalen優勝曲を手掛けてきた重鎮のFredrik Kempeが制作に参加しています。
おわりに
ここまでMelodifestivalen 2021のエントリー楽曲から半分をご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。「歌のうまい人たちがダサい曲をダサいパフォーマンスで届ける」というこの大会の魅力が伝わっていれば嬉しく思います(Dotter辺りはまさにそんな気がします)。
もしこの記事がきっかけで一緒にMelodifestivalenを楽しんでいただける方がいたら、ぜひTwitterやInstagramなどでご連絡ください。一緒に盛り上がりましょう!
また、友人ソータとのPodcast「カツヤとソータのConfessions on a Podcast」でも約20分でMelodifestivalenについての魅力を語ってみました。もしお時間が許せば、ぜひこちらもチェックしてみてください。
明日公開予定の「Melodifestivalenについて③」では、Melodifestivalen 2021エントリー楽曲全28曲から残りの14曲をご紹介します)。今回の続編となっていますので、ぜひご覧いただけたら幸いです。それでは、また明日お会いしましょう!
*1:なぜか日本のメディアBARKSでも「スウェーデンが生んだ天才アーティスト」として取り上げられました。
*2:スウィングやシュラーガー、カントリーやジャズなどの影響を強く受けたバンドの総称で、スウェーデンをはじめとする北欧諸国特有のジャンルとして確立されている。(Wikipediaより)
*4:Melodifestivalenではソングライターのラインナップも非常に注目されます
*5:2015年にEurovisionで優勝した「Heroes」はイギリスでも11位を記録するなどヨーロッパ中で大ヒットを記録。プロジェクションを用いた印象的なパフォーマンスはそのあとのEurovision関連パフォーマンスに大きな影響を与えました。
Melodifestivalenについて①
- はじめに
- 過去のパフォーマンスたち
- ABBA「Waterloo」(1974年 優勝)
- Loreen「Euphoria」(2012年 優勝)
- Måns Zelmerlöw「Heroes」(2015年 優勝)
- Alcazar「Not a Sinner nor a Saint」(2003年 3位)
- Oscar Zia「Human」(2016年 2位)
- Malena Ernman「La voix」(2009年 優勝)
- Ace Wilder「Busy Doin' Nothin'」(2014年 2位)
- Dolly Style「Habibi」(2019年 予選敗退)
- Benjamin Ingrosso「Dance You Off」(2018年 優勝)
- BWO「Lay Your Love on Me」(2008年 3位)
- おわりに
はじめに
今回の記事では、私が愛してやまないスウェーデンの音楽祭「Melodifestivalen」についてご紹介。愛が溢れる3本立てでお届けします。
- Melodifestivalenについて①(当記事)
- Melodifestivalenについて②
- Melodifestivalenについて③
毎年2月~3月にかけてスウェーデン国内で行われる音楽祭、Melodifestivalen(メロディフェスティバレン)。毎年5月にヨーロッパ中の国々(とオーストラリア)から代表アーティストが集まり、楽曲のパフォーマンスを競い合うEurovision Song Contestの国内予選として開催されています。なんとスウェーデンでは1年で最大の視聴率を誇るテレビ番組だそう。昨年はイギリス留学していたこともあり、Melodifestivalenの決勝戦を現地、ストックホルムのFriends Arenaで観戦することができました(超嬉しかった)。
スウェーデンと言えば、古くはABBA、その後もAce of BaseにThe Cardigans、Robyn、Avicii、Zara Larsson、Tove Loなど数々の世界的アーティスト、そしてMax Martinらをはじめとするソングライターたちを輩出してきたことでも名高い国ですが、このMelodifestivalenは世界に発信するというよりもむしろヨーロッパ内で完結するもの。
このMelodifestivalenとEurovisionは、一言で言うと、「歌とダンスがうまい人たちがダサい曲とパフォーマンスを披露する」場。残念ながら2020年はコロナウイルスの影響もあり、各国代表アーティストが出揃いながらも、本選となるEurovision Song Contest 2020は開催中止となってしまいました。各国予選や協議会などを経て選ばれたアーティストやソングライター陣のことを思うと居た堪れない思いですが、今年こそは開催できることを祈っています。
Melodifestivalen 2020で優勝し、スウェーデン代表に選ばれながらもEurovision出場が叶わなかったThe Mamas。彼らは2019年スウェーデン代表としてEurovision Song Contest 2019に出場したJohn Lundvikのバッキングボーカルも務めました。
以前にもこの大会についてはブログで触れてきたのですが、日本国内にファンが非常に少なく寂しい思いをしています。ということで今回は長~~~い記事でMelodifestivalenについてと、今年の出場者たちについて解説。ぜひ一緒に盛り上がってくださったらうれしいです。
私がMelodifestivalenに熱を上げ始めたのは約7年前ごろのこと。2011年スウェーデン代表としてEurovisionに出場した、Eric SaadeのパフォーマンスをYouTubeで見たことがきっかけでした。
この何とも言えないダサさ。1990年代終盤~2000年代中盤のユーロポップを引きずった曲調やコレオグラフィー。古くはABBAやAce of Base、そしてその後もAgnesやSeptemberなど、ユーロポップの系譜を引き継ぎ、世界的成功を収めたアーティストを多く輩出してきたスウェーデンだからこその楽曲群だと思います(ABBAとAgnesに関してはMelodifestivalenの出場経験もあります)。Eurovisionの予選は各国で開催されていますが、その中でもこのMelodifestivalenが特に毎年人気を集めているのはこういった背景があるからかもしれません。*1近年こういった雰囲気を持ったアーティストといえばAva Max辺りが挙げられるのではないでしょうか。 彼女もやはりスウェーデンなど北欧各国で絶大な支持を得ているようです。また、このEric Saadeのようにビジュアルの良い男性陣が多いこともLGBTQ+層、特にゲイの間での人気の根底にある気もします。
さて、コロナウイルスの猛威も収まらぬまま2021年が始まってしまいましたが、2020年12月には、開催を目指してMelodifestivalen 2021の出場者が発表されました。コロナウイルスによるEurovision中止を挟んだ今回の大会は、Melodifestivalenファン感激のラインナップ!生きていてよかったね。
まずはこのMelodifestivalenの簡単なルールを。この大会では、4回の予選と1回の敗者復活戦を経て選ばれたアーティストたちが決勝で競い合い、その中で一番得点の高かったアーティストがEurovisionへの出場権を得ることができます。各予選7組、計28組のアーティストが出場し、その中で1、2位に選ばれたアーティストが決勝出場権を、3、4位に選ばれたアーティストが敗者復活戦への出場権を得ます。そして、各予選から選ばれた8組と、敗者復活戦から選ばれた4組の計12組が決勝で競い合います。これらの得点は視聴者による電話/インターネット投票と、スウェーデン以外のEurovision出場国の審査員による投票の合計で決められます。パフォーマンスは3分以内と決められており、観客/審査員はともに楽曲の完成度、パフォーマンス、コレオグラフィー、舞台構成など総合的な判断のもと投票を行います。現地で観戦したときの順位発表では、会場全体に興奮やドキドキが伝わり、手に汗を握ってしまいました。
過去のパフォーマンスたち
まずは、過去のMelodifestivalenから印象的なパフォーマンスたちをご紹介。そのあと世界へと羽ばたいたABBAはもちろん、日本でもスマッシュヒットしたYohioやUlrik Munther、ヨーロッパ中で大ヒットとなったLoreenなど様々なアーティストや楽曲を輩出してきたMelodifestivalen。その中でも、個人的に印象的な10個の名(迷)曲を挙げてみました(今後の記事で紹介予定の楽曲は除きました)。
ABBA「Waterloo」(1974年 優勝)
昨年Netflixで公開されたEurovisionをテーマとした映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』でも大きくフィーチャーされた、誰もが知るこの楽曲。ABBAは1974年のMelodifestivalenで優勝したのちにEurovision Song Contestでも優勝。その後の彼らの活躍はご存知の通り。
Loreen「Euphoria」(2012年 優勝)
2012年のMelodifestivalen、Eurovisionで優勝し、ヨーロッパ中で大ヒットとなったLoreenの「Euphoria」。ここ日本でもBillboard Japan Hot 100にランクインするなどスマッシュヒットを記録しました。未だにヨーロッパでは人気がある楽曲のようで、イギリス留学中にも何度か耳にすることがありました。圧倒的な迫力と歌唱力で、Eurovisionファンの間では今も伝説的なパフォーマンスとして認知されています。最近は段々とスピリチュアルな路線に転向していき、そろそろ怖くなってきました。
Måns Zelmerlöw「Heroes」(2015年 優勝)
スウェーデンに3年ぶり6度目のEurovision優勝(現時点で最後の優勝)をもたらした「Heroes」。披露するのは2007年、2009年に続き3度のMelodifestivalen出場となったMåns Zelmerlöw。Perfumeの下位互換のようなアイコニックなパフォーマンスは大きなインパクトを残し、その後プロジェクターを用いたパフォーマンスがEurovision全体で多く観られるようになりました(優勝曲や流行の曲を堂々とパクるのもEurovisionの面白いところ)。また、このMånsはEurovisionのHot Guy代表として現在もEurovisionファンたちから親しまれています。 2007年の出場曲「Cara Mia」はEurovisionらしさ満載。
Alcazar「Not a Sinner nor a Saint」(2003年 3位)
昨年Sophie Ellis-Bextorにもカバーされた「Crying at the Discoteque」のヒットなどで知られるAlcazarもMelodifestivalen常連組。出場するたびに「Melodifestivalenらしい」、そしてゲイフレンドリーな楽曲を披露してくれます。今まで5回の出場を誇るほか、メンバーのTherese Merkelは2021年にソロ名義で初登場する予定。元メンバーのMagnus Carlssonは現在もソロシンガーとして精力的に活動し、ソロ名義でも数回Melodifestivalenに出場しています。
Oscar Zia「Human」(2016年 2位)
個人的に非常に推しているスウェーデン人シンガー、Oscar Ziaの本人名義2度目の出場曲(2013年にBehrang Miriのコーラスとして出場)。個人的に2016年この楽曲が負けたことは未だに根に持っています(怖い)。当初はオーディション番組からデビューを掴みアイドルシンガーとしてキャリアをスタートさせた彼。この「Human」のパフォーマンスと共にゲイであることをカミングアウト。繊細でありながら内なる強さを見せつけるようなこの曲は純粋に「いいパフォーマンス」でした。ここから今までのイメージを脱したのか、順調にセクシーさを増していく彼は今年のMelodifestivalenでは第2予選の司会を務める予定。
Malena Ernman「La voix」(2009年 優勝)
まさかのオペラ×ユーロポップという時点でもインパクト大ですが、何が一番面白いかというと、彼女があのGreta Thunberg(グレタさん)の母親だという事実なような気もします。今ではすっかりグレタママとしてのイメージが強い彼女ですが、実はこんな珍曲でMelodifestivalenで優勝していたのでした。
Ace Wilder「Busy Doin' Nothin'」(2014年 2位)
大会では惜しくも優勝を逃してしまったものの、スウェーデン国内でその年の優勝曲を超える大ヒットとなった楽曲。「Don't wanna work / I wanna make money while I sleep」というド直球の歌詞がバカバカしくもMelodifestivalenらしいですし、単純に歌がうまい。それにしても、日本に比べてワークライフバランスが重視されていそうなスウェーデンでもみんなこう思うんですね…。また、彼女はソングライターとして蔡依林(ジョリン・ツァイ)や4Minuteなどのアジア人アーティストにも楽曲を提供しています。
Dolly Style「Habibi」(2019年 予選敗退)
2013年にMelodifestivalenに登場し、ここ日本でもヒットしたYohioに続き、クールジャパン前回のアクト。2015年に「Hello Hi」で出場してから3回の出場経験を誇りますが、メンバーが当時から総入れ替えされているのも香ばしポイントです。ビジュアルのユニークさや、初音ミクやセーラームーンをイメージしたパフォーマンスとは対照的に、「普通にいい曲」を披露してくるところも好きです。2020年1月にはUNIVERSAL MUSIC JAPANに公式ページができましたが、それから一切更新されていません。
Benjamin Ingrosso「Dance You Off」(2018年 優勝)
スウェーデンのセレブ一族、Ingrosso家出身のBenjamin Ingrosso。なんと従兄弟にはあのSwedish House MafiaのSebastian Ingrossoがいます。同じくMelodifestivalen出場歴を持つ元FO&Oのメンバー、Felix Sandmanなどとの交流も多い、スウェーデンポップの次世代を担うアーティストの一人。幼少期から芸能界で活躍し、アイドル的人気を誇る彼ですが、歌唱力やソングライティング能力も高く評価されています。2019年にはなんと倉木麻衣の「Body talkin'」をFernando Garibayらと制作(運命感じた)。
BWO「Lay Your Love on Me」(2008年 3位)
ABBAやAce of Base、そしてAlcazarの影響を色濃く感じる3人組による楽曲。こういう3人組っていつだって面白いですね(参考)。グループ名はBodies Without Organs(器官なき身体)の略らしく、ここからもうインパクトしかありません。最後の檻から火花が飛び散るシーンなど、過激で派手な演出の数々はこれぞMelodifestivalen!これぞEurovision!という感じ。やはりこういう雰囲気ってヨーロッパで受けるらしく、Eurovision出場経験はないものの、彼らの楽曲はイギリスやフィンランド、ロシアなどヨーロッパ各国でチャートイン。エイベックスから日本デビューも果たしているので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。メンバー3人がそれぞれ全く異なるキャリアを持っているのも面白いグループ。
このほかにも香ばしい楽曲を披露してくれたHot Guysとして、David LindgrenやOla*2、そして次の記事で紹介予定のDanny SaucedoやAnton Ewaldなどがいますが、話せばいくらでも話せてしまうので割愛させていただきます。
おわりに
さて、訳の分からない異国の音楽大会についての早口記事、最後まで読んでいただいた方々は本当にありがとうございました。今日は「Melodifestivalenについて①」と題して、大会概要と歴代のエントリー楽曲をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。もしこの記事がきっかけで一緒にMelodifestivalenを楽しんでいただける方がいたら、ぜひTwitterやInstagramなどでご連絡ください。一緒に盛り上がりましょう!
また、友人ソータとのPodcast「カツヤとソータのConfessions on a Podcast」でも約20分でMelodifestivalenについての魅力を語ってみました。もしお時間が許せば、ぜひこちらもチェックしてみてください。
明日公開予定の「Melodifestivalenについて②」では、現地時間2月6日から開催予定のMelodifestivalen 2021エントリー楽曲全28曲から14曲をご紹介予定(③では残りの14曲をご紹介します)。ぜひお時間許しましたら、こちらもご覧いただけると嬉しく思います。それでは、また明日お会いしましょう!