Melodifestivalenについて③
- Melodifestivalen 2021出場者ラインナップ②
- Julia Alfrida「Rich」(初)
- Kadiatou「One Touch」(初)
- Klara Hammarström「Beat of Broken Hearts」(2)
- Lillasyster「Pretender」(初)
- Lovad「Allting är precis likadant」(初)
- Mustasch「Contagious」(初)
- Nathalie Brydolf「Fingerprints」(初)
- Patrik Jean「Tears Run Dry」(初)
- Paul Rey「The Missing Piece」(2)
- Sannex「All Inclusive」(初)
- Tess Merkel「Good Life」(6)
- The Mamas「In the Middle」(2)
- Tusse「Voices」(初)
- WAHL featuring SAMI「90-talet」(初)
- おわりに・視聴方法など
今回の記事では、私が愛してやまないスウェーデンの音楽祭「Melodifestivalen」についてご紹介。愛が溢れる3本立てでお届けします。
- Melodifestivalenについて①
- Melodifestivalenについて②
- Melodifestivalenについて③(当記事)
今回の記事では、前回に引き続き、Melodifestivalen 2021の出場者についてご紹介させていただきたいと思います。この記事がきっかけで皆さんがMelodifestivalenをより楽しめるようになりますように!
Melodifestivalen 2021出場者ラインナップ②
Julia Alfrida「Rich」(初)
こちらも初出場となるJulia Alfrida。スウェーデンのラジオ局P4 Nästaが主催するコンテストで入賞したことがきっかけでMelodifestivalen 2021の出場権を掴みました。
過去の楽曲はBillie Eilishなどを彷彿させるダークポップで、本人もBillieやTove Lo、Charli XCXなどに影響を受けたことを公言。また、自身がLGBTQ+の一員であることも公表しています。
これまでリリースしてきた楽曲はどれもMelodifestivalenにはあまりそぐわない暗い曲調のような気もしますが、Eurovision 2020のブルガリア代表はモロBillie Eilishのような楽曲で出場予定だったので意外といけるのかも。今回のエントリー楽曲「Rich」の共同制作者であるJimmy JanssonとMelanie Wehbeはともに過去のMelodifestivalen楽曲を多く手掛けており、どういった仕上がりになるのか注目です。
Kadiatou「One Touch」(初)
過去に Måns ZelmerlöwやLoreen、Danny Saucedo、Darinなど多くのトップスターを輩出してきたオーディション番組「Swedish Idol」の2018年版で準優勝を果たしたKadiatouが満を持してMelodifestivalenに初出場。
2020年はWilliam Stridh、2019年はRebecka KarlssonとZeanaと、毎年のように「Swedish Idol」入賞者の中から新人としてMelodifestivalenに初出場するアーティストがいるように思います。
Klara Hammarström「Beat of Broken Hearts」(2)
Melodifestivalen 2020に「Nobody」で初出場、惜しくも予選敗退となってしまったKlara Hammarströmが2年連続で出場。個人的に前回のパフォーマンスがかなりお気に入りだったので、今回またこうして見られることが非常に嬉しいです。
また今回のソングライター陣には私がスウェーデンのHot Guyとして絶賛注目中のAndreas Wijkのほか、先述のFredrik KempeやDavid KreugerなどMelodifestivalen常連組が名を連ねており、今度こそ決勝戦に出場するべく最強の布陣となっています。
Lillasyster「Pretender」(初)
16年のキャリアを誇るハードロックバンドがキャリア初となるMelodifestivalenに出場(なぜ?)。楽曲名はヒゲダンのあの曲と同名の「Pretender」。
フィンランドと共にメタル/ハードロック大国であるスウェーデン。2006年に「Hard Rock Hallelujah」でフィンランド代表として出場したハードロックバンドのLordiは見事優勝を果たすとともに、大きなインパクトを残し、映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』でも彼らを模したキャラクターが登場しました。
Lovad「Allting är precis likadant」(初)
こちらも初登場、ティーレソー出身の28歳、Lovadです。2020年のMelodifestivalenにも出場したAlbin Johnsénとの「Vi gjorde vårt bästa」などで知られる彼女が、そのAlbinや元E.M.D.のメンバーMattias Andréassonらがペンを握った「Allting är precis likadant」で初出場を果たします。
Agnesを思わせるハスキーなボーカルと確かな歌唱力が魅力の彼女、Melodifestivalenのステージでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか期待です。
Mustasch「Contagious」(初)
こちらもLillasysterと同じく初出場のハードロックバンド(なぜ?)。1998年に結成、なんと22年のキャリアを誇る大御所バンドです。こちらは全くMelodifestivalenと縁がないというわけでもなく、ボーカルを務めるRalf Gyllenhammarが2013年に「Bed on Fire」で出場、決勝で7位の成績を収めました。
このコロナウイルスが蔓延する中で「Contagious(伝染性の)」というタイトルをつけた彼ら。楽曲の内容が気になります。
Nathalie Brydolf「Fingerprints」(初)
Kadiatouと同じく、2018年に「Swedish Idol」に出演した人物。オーディション番組出演時には6位と結果は振るわなかったものの、堂々としたパフォーマンスでインパクトを残しました。
まだオリジナル楽曲を発表したことのない彼女。音楽性含め未知数なところが多く、大会から3年経った今の実力はいかに。ある意味今回のダークホースかもしれません。
Patrik Jean「Tears Run Dry」(初)
歌手として活動する傍ら、Felix Jaehnを始め多くのアーティストに楽曲提供をしてきたPatrik Jeanが初出場。The MamasをMelodifestivalen 2020優勝に導いた「Moves」の制作にも参加しています。
今回のエントリー楽曲「Tears Run Dry」の制作陣には、ともに「Moves」の制作を担当したMelanie Wehbeと、過去にMelodifestivalenに出場したRobin BengtssonやVictor Croneの楽曲を手掛けてきたHerman Gardarfveが名を連ねており、まさに近年のMelodifestivalenを支えてきたメンツがそろっています。
Paul Rey「The Missing Piece」(2)
Melodifestivalen 2020に「Talking In My Sleep」で出場し、6位の成績を収めたPaul Reyが2年連続出場を決めました。コーラスでの振り付けが印象的な「Talking In My Sleep」は大会の結果こそ振るわなかったものの、国内チャートでは8位を記録、自身最大のヒット曲となりました。
2020年11月に第1子を迎えたばかりの彼、2021年にリリース予定のEPは父親になること、子供を育てることについてのものになるそうです。父親になりより深みを増した彼の楽曲やパフォーマンスに注目です。
Sannex「All Inclusive」(初)
1977年に結成された大御所ダンスバンドがまさかの初出場。今回はベテラン勢の初出場が目立つような気がします。
エントリー曲のタイトル「All Inclusive」はまさにMelodifestivalenやEurovisionのモットー。LGBTQ+、特にゲイからの人気が高い音楽大会としても知られるMelodifestivalenに、彼らのようなキャリアの長いバンドがこういったタイトルの楽曲で参加することが何となく嬉しいです。
Tess Merkel「Good Life」(6)
主に2000年代にスウェーデンで人気を博したダンスポップバンド、Alcazarのメンバーとして知られるTess Merkelがソロとしては初の出場に。すでにAlcazarのメンバーとして2003年から5回の出場経験があり、そのほかバッキングボーカルとしてもMelodifestivalen 1993のLena Pålsson「Sjunde himlen」をはじめ、複数回出場しています。また、Alcazarは「Crying at the Discoteque」や「This Is the World We Live In」などのヒット曲で世界的に知られており、前者は先日Sophie Ellis-Bextorによってカバーされたことで再注目されました。
The Mamas「In the Middle」(2)
言わずもがな、Melodifestivalen 2020で優勝を果たしたものの、コロナウイルスの影響でEurovision Song Contest出場が絶たれてしまったThe Mamasが2年連続出場。悲願のEurovision出場を目指します。
元々はMelodifestivalen 2019の優勝曲、John Lundvik「Too Late for Love」のバッキングボーカルを務める4人組として結成されたThe Mamas。1人の脱退を経て、「Move」で初出場、初優勝を果たしました。
今回のエントリー楽曲「In the Middle」の制作陣の1人にはRobin Stjernbergの名前が。「Idol 2011」出身者の彼は、Melodifestivalen 2013に「You」で出場し優勝経験もあります。また、Melodifestivalen 2017の優勝曲、Robin Bentsson「I Can't Go On」のソングライターも担当しており、メインアーティスト/ソングライターとして既に2回の優勝を経験。今回、この楽曲で3度目のEurovision出場を果たし、悲願の優勝を収められるでしょうか。
Tusse「Voices」(初)
「Idol 2019」で優勝し、オリジナル曲「Rain」で見事デビューを果たしたTusseが初出場を決めました。2002年生まれの19歳、今回の出場者では最年少となります。
今回の楽曲「Voices」は多くのMelodifestivalen楽曲を手掛けるAnderz Wrethov、Jimmy Thörnfeldt、Linnea Deb、Joy Debの4人が制作を担当。Anderz Wrethovは嵐やNEWSなどにも楽曲提供をした経験を持ちます。ジャニーズ関連の楽曲を見ると度々スウェーデンのミュージシャンがクレジットされている気がします*1。
WAHL featuring SAMI「90-talet」(初)
スウェーデンのヒップホップデュオ、MedinaとSödraSidanからそれぞれのメンバーがタッグを組んでの初出場。ヒップホップアクトによるスウェーデン語楽曲での出場というと、Melodifestivalen 2020のAnis don Demina「Vem e som oss」の枠なのでしょうか。
おわりに・視聴方法など
Melodifestivalenへの愛が溢れすぎて、今までのどの記事よりも長く書いてしまいました。最後までお付き合いくださった方々、本当にありがとうございました。本来は1つの記事でお届けする予定が、15,000字を超えてそろそろ「ヤバイぞ…」と思い始めたので、思い切って3分割してみました。
もしこの記事を読んで一緒にMelodifestivalen 2021を観てくださる人がいらっしゃれば嬉しく思います。各予選の日本時間は下記を参照。時差により日本時間では早朝になってしまいますが、オンデマンドでの視聴もできます。視聴はMelodifestivalenを放送するテレビ局、SVTのウェブサイトからどうぞ。
- 第1予選:2月7日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 第2予選:2月13日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 第3予選:2月20日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 第4予選:2月27日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 敗者復活戦:3月7日(日) - 4:00~5:30(日本時間)
- 決勝戦: 3月14日(日) - 4:00~6:00(日本時間)
どの予選にどのアーティストが出場するのかは、英語のページにはなってしまいますが、こちらで確認することができます。また、私を含めスウェーデン語がさっぱり分からない人たちのために、Melodifestivalenの情報をアップデートしてくれるSNSアカウントやサイトがいくつかあります。TwitterのMelodifestivalen (en)はその名の通り、Melodifestivalenの情報を英語でツイートしてくれる公式アカウント。そのほかにも、スカンディナヴィア半島のポップミュージック情報を主に発信するScandipopというサイトでも情報は見られますし、Eurovision全体の情報サイトとして圧倒的な情報量を誇るWiwibloggsも要チェックです。
また、友人ソータとのPodcast「カツヤとソータのConfessions on a Podcast」でも約20分でMelodifestivalenについての魅力を語ってみました。もしお時間が許せば、ぜひこちらもチェックしてみてください。
この記事があなたのMelodifestivalenライフのきっかけとなりますように!