台北旅行
実は昨年の初春にも台北には訪れているのだが、その独特な空気感に魅了されてしまい、一年半で再び足を運ぶこととなった。今回は晩夏。季節も真逆で、いい頃合いだったと思う。
台北は本当に面白い街だ。まだ二度しか訪れたことがない身ではあるが、それでもやはり面白いと思う。現代の日本が失ってしまった美しさや温かさと、現代の日本が必死に追い求めているテクノロジーとが、うまく同居している。そしてこの街の人々は、「見てみぬフリ」を覚えてしまった私たちが手放したものを、大切に守り続けている。電車でよろけたおばあさんを周りの人たちが支えてあげる光景を見て感動してしまう自分が、恥ずかしくさえあった。
きっと台北では、思いやりがひどく当たり前のものなのだ。
銀行で外貨両替しようとすれば「隣の銀行なら手数料がかからないからそっちがいいよ」なんて損得抜きで教えてくれるし、ティースタンドで土産用の茶葉を見ていたら、試飲用にと販売用のお茶をプレゼントしてくれた。雑貨屋さんでは、お互い拙い英語ながら必死に商品の説明をしてくれた。ただ運がよかっただけなのかもしれない。でもろくに現地語も話せない日本からの観光客に寛大な心をもって接してくれた彼らは絶対に親切な人たちだ。
今、自分は名古屋市の観光案内所でアルバイトをしている。統計のためにもインバウンド客の出身国を聞いているのだが、台湾は最もよく耳にする国名の一つだ。親切さに還元も何もないけれど、やはり彼らには感謝と尊敬の念をもって接したいと感じる。
ふと「僕らが変わるってことは 世界を変えるということと ほとんど同じなんだよ」というSEKAI NO OWARIの歌詞を思い出す。見てみぬフリが横行しているこの社会のなかで、小さな存在である一個人が変わることは案外大きな意味を持つのかもしれない。
日々の生活に追われ、優しさを持つ余裕がなくなりそうなときには、また台北に訪れたいと思う。おいしいものもあるし。
いい曲ですよね。